村上春樹『騎士団長殺し』を読んで思ったこと


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見えないものと暮らすということ

――村上春樹『騎士団長殺し』を読んで思ったこと

『騎士団長殺し』を読んだとき、私はふと、こんなことを感じました。
――目に見えないものと、私たちはどうやって暮らしているんだろう? と。

物語のなかに登場する「騎士団長」や「イデア」は、実体があるようでなくて、でも確かにそこにいる存在。奇妙だけど、どこか懐かしい。
それを読んでいるうちに、私もふだんの生活の中で、気づかないうちにそういう“見えない存在”と一緒に生きているのかもしれないな、と思いました。

たとえば、理由はよくわからないけれど、なんとなく不安になる夜。
あるいは、昔の音楽を聴いて、涙が出そうになるとき。
そんなとき、私の中の“騎士団長”が何かを伝えようとしてくれているのかもしれない。
見えないけれど、確かにあるもの。
そして、それにちゃんと耳を澄ませることが、大人になるってことなのかもしれないなって。

この本を読んでから、私は少しだけ、曖昧なものや、はっきり説明できない感情に、優しくなれた気がします。

目に見えることばかりを追いかける日々の中で、見えないものにも、ちゃんと居場所をあげられたら――それって案外、すごく大切なことかもしれないですね。


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この記事を書いた人

はじめまして。
人材育成コンサルタントをやっております。
行動科学に基づいたエビデンスベースの人材育成研究をする傍ら、趣味で哲学・思想や文学研究をやっております。
偉大な哲学者や思想家、小説家の研究をしているうちに、自分の言葉で描きたくてうずうずしてきました。
その結果、哲学・思想・文学のエッセイブログを書くに至りました。
偉大な先人の文献を読んで、人生や日常生活に活かせないかな?と考えたのがこのブログのきっかけです。
気楽にお楽しみいただければと思います。

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